「1度でも買ってくれたら良さを分かってもらえるのに……」と思っていませんか?

きなりですが、ちょっとだけ個人的な話をさせてください。ぼくは10代の頃から20代の前半くらいまで音楽付けの生活でした。音楽付けと言うとちょっと言い過ぎなところがあるかもしれません。でも吹奏楽部に所属しつつピアノを習い、バンドを掛け持ちしつつというような感じだったので、音楽が生活の中心にあった事は間違いありません。

そんな生活ではありましたが、今ではだいぶ音楽から遠ざかっています。楽器をさわる機会も減りました。カラオケにすらほとんど行きません。仕事の方がおもしろくなったというのが大きいですね。

まぁそんな話は本題とは関係ないのですが、要するに音楽が好きなので、音楽シーンというものにも興味がありました。もちろん、やるからにはプロを目指していましたので、どんな音楽が売れているのか?という事には注目してしまいます。そんな中でいつも感じていたのは、この一言につきます。

「上手いアーティストが売れるのではなく、売り方の上手いアーティストが売れるのだ」

という事です。〝いい音楽〟というのは定義するのが難しいですが、ここでは歌唱力があり、演奏力があり、パフォーマンス力もある、実力あるアーティストとしておきましょう。厳密に言うとトップに君臨するようなアーティストは、当然実力も兼ね備えているのですが、中間層に位置するアーティストは実力はそこそこでも売り方で売れてしまうのです。

これは音楽に夢を抱く人にとっては、なんとも我慢ならない話に思うかもしれません。下手くそなくせに売れている人を見て嫉妬するかもしれません。ぼくもそうでした。自分の方が実力がある。自分の方がいい曲を作れる。自分の方が売れないのはおかしい。そんな風に思ってしまうのです。

自社の方が優れているのに……!!

ライブ会場

り方が上手ければ売れるという1つの事実に気付いた時、ぼくは可能性を感じたのです。圧倒的に優れた才能や実力を備えたミュージシャンを見ていると、自信を失って行くばかりです。「音楽で食って行くなんて才能が無いと無理だ」という、誰もが言いそうな結論に達してしまいます。

でもそこそこの出来でも、売り方を工夫すればいけるのではないか? という視点を持ったとき、それは未熟なアマチュアアーティストにとっては希望になりえるでしょう。

でもこういう考えってなかなか理解されません。ミュージシャンなんてみな「いい音楽を作れば売れる」と思っていますから。だいたいほとんどのミュージシャンが口を揃えて言うのが、ライブハウスでライブを続けていればいつか業界関係者が見つけてくれるという希望的観測です。確かにそういうことは起こりえますし、逆に音楽業界の人も新人アーティストを探しているわけですから可能性を否定しているわけではありません。

ただ、それってかなり他力本願ですよね。運命を他人に委ね過ぎです。お客さんに商品を買ってもらうのを待っていて、あなたのビジネスはうまくいくでしょうか? お客さんにお店を見つけてもらうのを待っていて、あなたのお店にお客さんは増えるでしょうか? ビジネスでは当たり前のようにある集客という考え方がないのがミュージシャンなのです。

お客さん任せにしていませんか?

Find Me!!

ジネスの現場にいる人も、実はこのような考えをしてしまいます。「自社の方が優れているのに!!」あなたもこう思った事があるのではないでしょうか? 自分たちの商品の方が良い。自分たちの方が良いサービスができる。自分たちの方が売れないのはおかしい、と。

特に自分の商品やサービスに自信がある人に限って、〝商品・サービスが良ければ売れる〟という幻想を抱き続けてしまいます。お客さんが商品の良さに気付いてくれるのを、ただ期待しているだけなのです。

1度使ってもられば、1度体験してもらえれば、1度来店してもらえれば、と期待するのは構いません。でも、その1度が難しいのですよね。まず売って、まず知ってもらってから商品の質を高めていけばいいのです。だって、お客さんの意見なしには商品の改善なんてできませんからね。

勘違いしてほしくないのは、商品の質は無視して売り方さえなんとかすればいい、という意味ではないということです。残念なことに、商品の質が悪くても売り方が上手ければ売れてしまうというのも事実です(じゃなきゃ詐欺なんかの事件は発生しませんよね)。だからこそ、売り方を身につけ本当に価値ある商品・サービスを売って行く活動が必要なのです。

モノが良ければ売れるだろう、という幻想はさっさと手放しましょう。

商品ありきでスタートするのではなく、お客さんありきでスタートしましょう。本当に良い商品・サービスであるなら、売らないことは罪なのですから。